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書くことは一つの魔術 〜村松恒平さんの言葉から〜
- 2009.06.13 Saturday
- HowTo 知的生活術
- 13:31
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- -
- by jouhouko
●村松恒平さんの興味深い文章があったので、一部抜粋
《小説は、人が最低限必要とする衣食住ではありません。
それを「読みたい」と思わせるのは一つのマジックなのです。
人を酔わせる魔術を身につけるには辛い修行がいる。
それを実現するためには少々の苦労はいとわない。その大望が実現するまでは、少々貧乏しても仕方ない。そう思って迷いがない人というのは幸せだと思うのです。
書くことが好きで、書いていると楽しくて、夢中になってしまう、そういう人がいます。そして、読むことが好きで、好きな本を読んでいると時間を忘れてしまう人もいます。そういう陶酔的な時間自体が本の魔術の入り口なのです。
だから、小説が書きたい人は、大好きなことをしている幸せが芯にあるものだと僕はずっと思っていました。
音楽でも、絵でも、小説でもやりたいからやる、書きたいから書くのが最高です。
本人がイヤイヤやっていたら、作品にも迷いが出てしまう。
マニュアルを知らずに我流で表現すればムダも多いけれども、自分でいろいろなことを試していくことに有意義な部分があります。そういう遊びの感覚で試行錯誤していくところから、オリジナリティが生まれるのです。
ムダや非効率と思われているところに、未知の可能性があります。
そういう寄り道や道草が面白いのであって、人が書いたマニュアルを読み、人が歩んだ道を歩んで最短距離だけを求めると、やっぱり表現は痩せていってしまいます。
煮詰まったときに、いろいろな本を参考にするのはいいですけど、それに囚われて縮こまってはいけません。
世の中不景気でなにかと世知辛くなっていますが、せめて想像や創造の世界では、好きなことにをやりましょう。
書くことは、既存のものの順列組み合わせではないのです。
それは一つの、……魔術なのです。》
ブルース・スプリングスティーン
- 2009.06.04 Thursday
- 読んだ本のこと
- 02:19
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- -
- by jouhouko
ブルース・スプリングスティーン。
この歌手(ロックらしい)の名前は村上春樹の『意味がなければスイングはない』(文春文庫)という本で、最近はじめてしった。もちろん曲を聞いたことはない。
この本は、聞いた音楽についての筆者の個人的な経験やミュージシャンたちのことを書いたもので、クラシックからロックから何やから、いろいろ取り上げられている。
ぼくにとって(クラシック以外は)、ほとんど未知の分野で、よくわからないことが書かれている。しかし、わからないなりに、おもしろく、興味深く読ませる表現力はさすがである。
詳しいことを書こうとすると、時間が要るので、全部省略。
ここではただ、本に引用されているブルース・スプリングスティーンの歌詞を2つ引用させていただく。非常に深く印象に残ったため、それを心に焼き付けて、どうしたらこんな歌詞ができるのだろうかと考えてみたくなる。
(多分、いずれも村上春樹訳だろうと思う。英語の原文も並置されているが、ここでは省略。)
ボルティモアに女房と子供たちがいたんだよ。
あるとき俺は車で家を出て、そのまま戻らなかった。
行く先もわからずに流れていく川みたいに、
まずい方向に折れて、そのまま流されてきたんだ。
誰もが餓えた心を持っている。
誰もが餓えた心を持っている。
賭金を張って、とにかく役をこなし続けるしかない。
みんな餓えた心を持っているんだよ。
(ハングリー・ハート)
最初の4行がいいね。
救いのない町に生まれ落ちて
物心ついたときから蹴飛ばされてきた。
殴られた犬みたいに、一生を終えるしかない。
身を守ることに、ただ汲々としながら。
俺はアメリカに生まれたんだ。
それがアメリカに生まれるということなんだ。
(アメリカに生まれて)
最後の2行は、原文では4行になっているが、それをうまく訳している。
Born in the USA.
I was born in the USA.
I was born in the USA.
Born in the USA.
(インターネットで調べたところ、「Born in the USA.
I was born in the USA. I was born in the USA.
I was born in the USA」となっていた。)
「アメリカに生まれたんだ。おれはアメリカに生まれたんだ」
というところがとてもいい。
アメリカというのは、もちろん富と繁栄の極にある国で、アメリカ人はそれを誇りにしている。けれども君たちが誇りに思っているアメリカは、ほんとうはこういう国なんだ、と、目の前に突きつける効果は抜群。
題名だけ見ると、「アメリカに生まれて私たちは幸せだ、アメリカは素晴らしい国だ」という意味にもとれる。
アメリカ社会(レーガンによる新自由主義の経済社会)が生み出す格差(病巣と貧困)が、これほど見事に歌われている歌はほかにないのではないか、という気がする。
ちなみに、インターネットで見たところ、この歌にはこんな歌詞も含まれている。
Got in a little hometown jam so they put a ryfle in my hand.
Sent me off to a foreign land to go and kill the yellow man.
《彼らは俺の手ににライフルを持たせた。知らない国へ連れて行って、俺に言った。さあ、黄色い人間を殺しにいくんだ!》
英語力不足で、「Got in a little hometown jam」のところがよくわからない。
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