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基本方針「固く隠す」「何も期待しない」「機会を利用する」

  朝、彼は職場の駐車場で、時間ぎりぎりまで車の中でピアノ曲を聞いていた。

 聞いている間だけ情熱的な喜びを感じるので繰り返し聞いていた。

 モーツァルト、ハイドン…

 朝方、見た彼女の姿はややうつむき加減で、こよなく優しく、憂鬱げで、魅力的だった。
 憂鬱な甘い魅力。独特のやさしい感じ…
 いや、適切な表現は難しいが、そのときの感動が今日一日の心の糧となっていた。これで彼女をひと目見られたから、出張で外へ出かけることができる。そう思って彼は出かけた。

  出るとき、強いためらいがあって彼女の方へちらりと視線を向けることができなかった。

 朝方、彼女を見たあとで彼女によって心に呼びさまされた独特の甘美で複雑な喜びのことを思いながら、車庫に向かう道々、ふとこんな考えが浮かんできた。

 
モーツァルトやハイドンのピアノソナタ(短調)を聞くとき、独特の興奮、独特の喜びを感じる。その曲が彼の心に、ある複雑で甘美な喜び、感銘を引き起こすからだ。つまり「その曲には独特の魅力が備わっている」ということである。

  それと同じように、「今朝方彼女を見たときに、やはり彼はある深い、いいようのない喜び」を感じたのだった。それは、「優しい、どことなく憂鬱な優しさを感じさせるもので、彼女の姿態、顔立ちが、そういうものを心に呼びさます効果をもっている」のだ。

 彼女の魅力は、色香といっても、いわゆる色気といった感じのものではない。彼に感じられる彼女の魅力は、もっと複雑で、精神的な(というのは適当ではないが)何かである。その感じをあらわすことはできないし、それに近いニュアンスさえも伝えることは困難だ。

 甘美な、憂鬱な、メランコリーのイメージ…

 昼休み。彼は自分の年齢を忘れ、またしても愚かな妄想を抱きそうになる自分に水をかけた。

 それはもちろんそうだ。当然のことながら、〈基本方針〉はこうである。

1 彼女への関心を「かたく隠しておく」こと。

2 彼女に対してはいっさい「何も期待しない」こと。
  (これは絶対的な大原則。この二つの原則を厳守しながら、次のことが要求されるのだ。)

3 彼女を「見る機会をできるだけ利用する」こと。

4 「見る喜びを深く感じる」こと。

 


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